フジマル佐藤商店「あなご」のふるさと 石巻・牡鹿を訪ねて
フジマル佐藤商店
「あなご」のふるさと
石巻・牡鹿を訪ねて
宮城県は、全国トップクラスの「あなご」水揚げ量を誇る隠れた名産地。漁の歴史は古く、大正時代末期頃(約90年前)に始まったと言われています。県内でも特に水揚げ量が多いのは、石巻・牡鹿半島の「表浜(おもてはま)」地区。宮城の「あなご」の魅力に迫るべく、「表浜」であなご漁を営む漁師さんにお話を伺ってきました。
取材に応じてくれたのは「フジマル佐藤商店」の会長・佐藤秋義さんです。「フジマル佐藤商店」は、秋義さんが42年ほど前に創業した会社で、当時は「表浜」産の「あなご」を買い付け、築地へ送る仕事が主だったとのこと。その後、自ら牡蠣やワカメの養殖を行い、今から約4年前には「あなご」の漁も始めたと言います。
「私が生まれる前から、表浜ではあなご漁をしていたと聞いています。あなごは暗くて狭いところが好きですから、筒状の漁具を仕掛けておいて、そこに入ったあなごを水揚げするんです。今はプラスチック製の筒を使いますが、90年くらい前は竹の筒を使っていたんじゃないかと思いますね」(秋義さん)漁具の素材は変わっても、基本的な漁の方法は今も変わらないのですね。ちなみにこの漁法は、魚体を傷つけないため、味が落ちやすい「あなご」に最適だとされています。
また、「表浜」を含む宮城県産「あなご」は、高品質なことで知られ、「北限のあなご」「牡鹿あなご」「常磐あなご」などと呼ばれているのだそう。「宮城は東日本最大のあなご産地であり、北限の産地でもあります。そのため、国内で漁獲されるあなごの中でも、身が引き締まっていて食感がよく、脂がしっかりとのっているのも特徴。宮城県沖にやってくるあなごはメスが多く、メスは体が大きいので、宮城県沖では大きなあなごがよく獲れるんですよ」(秋義さん)
あまり知られていませんが、実はあなごは一生を海で過ごす海水魚。沖ノ鳥島の南方で産卵し、その後、日本各地の沿岸部に移動すると考えられています。宮城での漁期は、例年6月中旬から12月末まで。特に6月中旬から7月にかけての水揚げ量が多く、いわゆる「旬」の時期とされています。秋義さんに、おすすめの食べ方を伺いました。
「うちでは白焼きや天ぷら、煮あなごにして食べることが多いかな。鹿妻(石巻)にある当社の直売所でも、煮あなごをつくって惣菜として販売するんですが、いつもすぐに売り切れるほど人気なんですよ。本当に美味しいあなごを、地元・宮城や東北の方にもっと食べていただきたい。そう思って、最近では、捌いてすぐに冷凍した商品を開発したり、あなご専門の飲食店を計画したりしています。石巻に来た際には、みなさんにお立ち寄りいただきたいですね。そして、宮城県産あなごの美味しさを、ぜひ体験していただきたいと思います」(秋義さん)
ちなみに7月5日は「あなごの日」。今年の7月は、宮城県産の「あなご」で暑気払いしてはいかがでしょうか?
代表取締役・佐藤泰智さん、社長・佐藤宗徳さん
あなごはカロリーが低めでヘルシー。胃がもたれることも少ないので、老若男女みなさんに美味しく召し上がっていただけると思います
会長・佐藤秋義さん
今までは宮城県産あなごのほとんどが東京に行っていましたが、これからは宮城でも流通するよう、今いろいろと考えているところです。なかなか手に取ることが難しいかもしれませんが、見かけた時はぜひ食べてみてください
6月中旬からのあなご漁に向け、漁具を点検・補修中(6月1日撮影)
「フジマル佐藤商店」は、宮城県で一番のワカメ出荷量を誇る会社。直売所を訪ねる際は、ワカメも手に取ってみては?
フジマル佐藤商店
- 宮城県石巻市鹿妻北1丁目205−1
- 0225-98-5579
- 9:00~17:00
- 不定休